アクアフォームの「開発と進化」
開発当初から今に続く研究チームの想い
- 松村工芸と吸水フォーム
- 「昭和30年代の初め、松村工芸は日本で初めて吸水フォームを輸入し日本市場に紹介しました。当時は華道に使われる剣山以外に、お花を挿す土台としては水苔や野菜が使われていたそうです。
吸水フォームの登場でフラワーアレンジメントの幅が飛躍的に広がり、松村工芸は海外メーカーの日本総代理店として日本における吸水フォームの普及と市場の確立に努力を重ねてまいりました。
吸水フォームを知りぬいた松村工芸が「さらに良いフォーム」がほしいと作りあげたのが、1991年より販売をスタートしたアクアフォーム。それまで海外製吸水フォームの日本総代理店であった松村工芸が日本独自の細やかなニーズに対応するために日本で製造したメイドインジャパンの製品です。ゼロからのスタートで工場を立ち上げ、繰り返し配合調整や実験を行うなど試行錯誤を重ねた開発当初。日本製の最高品質の吸水フォームをつくりあげたいというチャレンジ精神と日本のお花屋さんにもっと良いフォームを使ってもらいたい、驚かせたい、喜ばせたいという想いが研究開発チームの原動力でした。納得のいく製品が完成したのは、開発が完了するまでの供給用にストックしていた吸水フォームの在庫が尽きる間際のことでした。
しかしその頃、フロンガスによる環境問題が世界的な話題となります。製造にフロンを使用していた松村工芸は環境保護を優先し、完成して間もないフォームを脱フロンにするための研究が再び始まりました。思えばこのときから、今に至る「進化するアクアフォーム」という研究姿勢が根づいたのかもしれません。そして約1年の研究の結果、フロンを使用せず、それでいて吸水性・保水性・アレンジした花の保持力が従来を上回る製品開発に成功。新たな生産ラインをつくり、当時の中小企業ではいち早くノンフロン工場を操業させました。その後も、環境への取り組みとして、製造工程上必要不可欠であったホルムアルデヒドの低減化やダイオキシンを発生させない原料選びなど、数々の問題を解決しつつ日々研究を重ねています。
研究開発チームの次の目標は、アクアフォームの更なる“花持ちアップでした。当時のフォームは水と比べて、花が早く枯れてしまうという声が寄せられていたからです。それはお花を延命させるという、研究開発チームにとっては未知の領域への挑戦でした。実際に研究は失敗の連続で、なかなか良い結果が出せませんでした。苦悩のなかで、研究開発チームは原点に戻ることにしました。脱フロンのとき環境に優しいフォームをつくったように、原料をもう一度見直そう。人や地球が環境問題などにストレスを感じていたように、お花も成分の何かにストレスを感じているのではないか?それまで他社に発注していた原料の配合を、自社で行うようになったのはこの頃からです。
研究開発チームは原料を見直すためにお花への影響を根気よく調査し、ある成分にたどり着きました。それがお花にストレスを与えていたのです。フォーム中に天然由来成分を配合することで、お花へのストレスが減るのではないか?そのひらめきは実を結び、いまでは松村工芸の代名詞ともなった“花持ち”1.5〜2倍アップ(当社比)の新アクアフォームが完成しました。
水と同等以上の花持ちを実現したアクアフォームですが、松村工芸はまだまだ満足していません。これからももっと進化させていくために、いまも試行錯誤の研究を続けています。フォームはほんのひと匙の配合加減で結果が大きく変わります。また結果を知るためには、フォームに挿した花の蕾が開花して枯れるまでの様子を観察する必要があり、一度の実験につき2週間以上を要するなど、非常に膨大な時間がかかります。時間はかかるかもしれませんが、それでも、お花が「ずっとキレイ」なことで、花を売る人・飾る人・贈る人・贈られる人が笑顔になり、花業界がさらに活性化していくように。「みんなが幸せになれるアクアフォーム」をめざして取り組んでいます。